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高等教育における問題解決の感動:Alteryx + 香港理工大学

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高等教育における問題解決の感動:Alteryx + 香港理工大学 
 
会社概要
 
香港理工大学(PolyU)には、香港および世界中からの約29,000名の学生と5,500名の教職員が在籍しています。同大学は、職業教育と実用的なスキルに重きを置いた、伝統的な技術系専門教育機関としてスタートしました。今日では、専門教育、学術、応用研究にわたる、より幅広いプログラムを提供しています。Institutional Research(機関研究、以下IRと略す)アナリストの Anson Wun 氏は、インスティテューショナルリサーチプランニングオフィス(以下IRPOと略す)のチームメンバーです。学長の指揮下にある同氏のチームは、幹部が大学の業績を主要な基準に照らして把握し、大学の発展に関する戦略的意思決定を行うために、学内および学外のあらゆるソースからの大量のデータをまとめ、分析を提供しています。チームは機関としての主要な機関統計を政府に報告する責任も負っています。
 
企業の課題
 
香港理工大学は総合大学への進化の過程にありますが、大学の文化および管理プロセスの変革には多くの課題があります。「私たちはまだ技術系専門教育という性質の機関から、教育、研究および知識移転においてより優れた総合大学へと変化を遂げているところです。つまり、提供するプログラムから、教授法、インフラストラクチャーから管理プロセスの改革に至るまで、すべてに変化が伴うということです。」と Anson 氏は述べています。
 
Anson 氏のチームでは、学部ならびに大学の中央管理部門、政府、または他の外部ソースからのデータを集めています。同氏は、学内の部署から得るデータファイルの90%は Excel 形式によるものと推定しています。学外のソースから得るデータが、CSV および Excel 形式でのみダウンロードが可能なことは言うまでもありません。「私たちが従来頼りにしてきたのは Excel、またはより技術に長けたスタッフでは Microsoft Access です。それ以上のより高度なデータ要求においては、集中管理を行うIT部門に頼るしかありませんでした。ですが、これは必要な情報を得るには非常に時間のかかる、複雑なプロセスであることがわかりました。」 
 
IRPO における Anson 氏の最初の大仕事は、30近い学部用にバランス・スコアカードを作成することでした。具体的には、上級管理者が学部の業績を評価するためにKPIを設定することでした。チームは、学生と教員の比率、学生の多様性、交換留学生の受け入れ/派遣のパーセンテージ、サービス/ラーニングの機会、学生の受け入れの質等の指標に注目し始めました。また、公共および民間セクターからの収入、権威ある学術誌での言及やその他のビブリオメトリクスなどの研究の業績にも目を向けています。 
 
Anson 氏は、学部からのデータ入手後、最初のブレンディングを行う過程には数週間かかっていたと推定しています。これは、彼のチームには四半期に一度しかこのプロセスを実行することができないこと、チームの潜在的産出量にに大きな制約となることを意味します。Anson 氏は、「100件もの様々な大容量ファイルを毎月処理しなければならず、これは手に負える量ではない、というところまで来ていました。ステークホルダーが意思決定を行うのに必要なインサイトを提供するため、データをより早く処理しなければなりませんでした。」と説明しています。データ処理に時間がかかり過ぎていただけでなく、データのある部分についての質問があったり、データを別の角度から見るために変数を変更したいという希望があったりした場合、チームは元のデータソースに戻ってデータを切り取り直し、同じプロセスを繰り返さなければなりませんでした。
 
ソリューション
 

Anson 氏は、技術的に高度でエラーが発生しやすい構成には頼らず、堅牢なセルフサービスデータ処理と分析のためのソリューションを必要としていました。また、ラーニングカーブを短縮するため、シンプルなドラッグアンドドロップ機能を持つ直観的なユーザーインターフェースと、オンデマンドのオンライントレーニングやサポートリソースも探していました。これに加え、仲間と仕事を共有し、リアルタイムで共同作業をする機能も必要としていました。 

 

Anson 氏は、香港を拠点とする Alteryx のパートナー、Velocity Business Solutions を通して Alteryx のことを知りました。当時はデータの可視化に Qlik View を使用していましたが、Velocity が、データ準備とブレンディングの高速化だけでなく、予測分析などのより高度な機能にも目を向けるために、Alteryx を勧めました。Alteryx のトライアル版とスターターキットをダウンロードしてみたところ、もう手放せなくなりました。

 

 
研究成果を把握

Anson 氏は、Alteryx で達成できたことの例を共有しています。香港理工大学の研究成果をチームとともに分析しました。以前までは、発表された論文数に焦点が集まっていました。教授陣によってより多くの論文が発表されることは、大学にとってより良いことである、という仮定を基準(ベンチマーク)としていました。これが包括的な手段でないことに気づいた彼らは、出版物の中で論文が引用された(被引用)回数、引用先、引用方法を理解するのに、より安定したビブリオメトリクスを見ていくことに決めました。また、トピックの関連性、発表するソースの質、共同作業の影響などをより良く理解するため、引用のパターンに注目し、そうした引用の頻度とライフサイクルを分析することもできます。

 

データを突き止め、それを切り取るだけで長い時間がかかるため、以前ならば、引用分析は一度に一件しか行うことができませんでした。「 Alteryxで、一流学術誌の出版物数、引用の影響、共同作業による相互利益など、より多くのメトリクスを見ることができるようになりました。こうしたメトリクス間の相関関係や、学部および研究者の人口動態との関連性も見ることができます。これらはすべて、以前ならば不可能だったことばかりです。」

 
後ろを振り返り、前へ進む
 

政府は6年ごとに各大学の研究活動を査定し、その結果大学に支払われる助成金の調整が行われます。執行にあたっての査定(アセスメント)モデルと、その後ろ向きの特質から、結果は必ずしも香港理工大研究者の真の可能性を反映したものではありませんでした。そこで IRPO チームは、より深い分析を行う任務を課されました。Anson 氏は次のように説明しています。「アセスメントに含まれる大学や世界の大学に対して、私たちの業績をより幅広いメトリクスで独自に測ったとき、多くの学問分野でこの大学が非常に良い業績を上げていることがわかったのです。そこで、アセスメントの結果との相互検証を行い、学部にさらにインサイトを提供することができました。これを Alteryx のような便利なツールなしで達成することは想像もつきません。」

 

Alteryx を活用し、より包括的な手段を使用して上級管理者が関心を寄せている事柄を確認することができます。この分析が、香港理工大学の全学部にわたって、学内外の期待のバランスを取るうえで役立っています。

 

ワークフロー

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Anson氏によれば、「出版物の研究メトリクスを分析する必要が生じることはよくある」とのことです。私たちが使用しているソースの一つが Scopus です。機関誌の記事、書物、学会の議事録など、研究関連の出版物における世界最大のアブストラクトおよび引用文献のデータベースです。ユーザーはこれにより、各出版物の詳細をダウンロードすることができます。ですが、ダウンロードが可能な量に制限があり、また、メタデータには常に利用できないものもあります。

特に、学会の議事録データがその例です。学会の議事録は数万件存在します。Scopus の制限により、一度にダウンロードできる記録は2,000件に限られます。そして学会に関連したメタデータは、この方法では入手不可能です。この問題を避けるための API も存在しますが、これはITに抽出と変換のためのプログラムを書いてもらうことを意味し、納期までにかなり時間がかかるのが普通です。

そのため、以下のワークフローが非常に役立ちます:私たちが入手した既存の出版物データからAPIコール(ダウンロードツールを使用)を構築します。返されるデータは JSON 形式です。そこからJSON パースツールを使用し、データを解析してプロパティ値のペアにします。この後フォーミュラツールの正規表現を行い、プロパティの文字列を短縮し、これが次に列名として使用されます(クロスタブツール)。これが最終的にさらなる処理のため、yxdb に出力されます。

ワークフローはわかりやすく、単純に見えますが、これにより節約できる時間は計り知れません。Aletryx 以前の方法を使うとすれば、そのデータと手作業の量から言って、恐らく年に2回しかできないでしょう。解析プログラムに何らかの変更を加えるには、ITによる作業がさらに必要となります。このワークフローならば、いつでも私たちで行うことができ、パラメータの変更も簡単にできます。
 
利点
 

Alteryx は、分析をタイムリーかつ柔軟に行い、データに基づいて意思決定をするための堅牢で多彩なプラットフォームを提供しています。「社会、人口動態、文化は急速に変化し続けています。データ処理・分析のための堅牢で柔軟な方法を持たなければ、後れを取る危険があります。」と彼は述べています。

 

反復可能なワークフローとセルフサービス分析
 

Alteryx を使用すれば、合理化されたワークフローで各学部のレポートと分析を作成することができます。あらゆる学部からの様々なデータソースをすべてまとめ、データを可視化用にわかりやすい形式に変換し、モデルを作成してダッシュボードをリアルタイムで更新するまでの作業に、彼のチームはほんの数時間しかかけていません。2週間かけて完了させていたプロジェクトは、たった数時間で終わるようになりました。その結果、レポートやダッシュボードの更新にチームが要するリードタイムを大幅に削減することができます。「かつて四半期ごとに作成していたレポートを、今では毎月出すことができます」と Anson 氏は言います。「それにより他のプロジェクトに取り組む時間ができ、管理者は問題の特定や傾向のモニタリングをより効果的に行うことができます。」

 

さらに、このプロセスは完全に反復が可能です(反復可能というのがより良い表現です)。Anson 氏は、プロセス全体をやり直すことなく、データセットを扱う代替手段に基づいて簡単に調整を行うことができるのです。他のチームメンバーがいずれかの分析をしたいときのために、ワークフローを共有することができます。 

 
生産性の向上

 

ビルトイン・アナリティクスにより、Anson 氏は Alteryx でのデータブレンディングが可能になるだけでなく、予測、空間に加え、規範的なインサイトもデータセットに追加することができます。

 

「Alteryx は、私たちチームのプロセスと成果物を整理整頓をしてくれました。Alteryx 導入前は、複数のExcelスプレッドシートを同時に実行し、そしておそらく Microsoft Access に Power BI、また他の統計やスクリプティングのツールも投入して、それぞれのツールの欠点を埋めていたと思います。Alteryx の包括的なモジュールセットで、こうしたタスクの大部分を一元化し、データ管理と分析の出力を完全に最適化できました。」と彼は述べています。 

 

Anson 氏は、Alteryx のワークフロー構築を通して、新しいことを学び続けています。「できた!と思った瞬間に、プラットフォーム内で目的を達成するのに、もっと良い方法があるのを発見したりします。」最新のベストプラクティスや利用可能な他の機能やツールについて学びながら、データセットからより深いインサイトを推定している、ということもよくあります。「こうしたことは、最初に Alteryx を使い始めた時の想像をはるかに超えています。」

 

インサイトを深める

 

Alteryx のことを仲間に言うと、スプレッドシートを使用した従来のアプローチを超えるどのような利点があるのか、と当然ながら疑問を投げかけた者が多かったと Anson 氏は言います。これはスマートフォンとフィーチャーフォン(ガラケーなど)を比較するようなものだと彼は説明します。「スマートフォン同様、Alteryx は全く異なる文化とマインドセットに私たちをいざなってくれます。データの管理、探究、発見を行う全く新しい方法なのです。」さらに彼は、「Alteryx は、自分たちのデータについて知らないことがいかに多いか気づかせてくれます。」とも付け加えました。

 

Alteryx の予測分析を使用し、チームは学生に関する予測のモデル作成に着手しました。現在、学生の進歩に関係した要素を明らかにし、結果の予測に使用しようとしています。Alteryx の直観的なワークフローインターフェースと、Rとの統合により、チームは基礎となるパラメータを簡単に変更し、統計モデルを最適化することができます。「私たちは Alteryx の次のレベルである予測と規範の機能へ進む準備ができていると思います。そのことをとても嬉しく思っています。」と Anson 氏は語りました。

 

Alteryx サポート
 

Anson 氏は、オンライントレーニングの資料を高く評価し、Alteryx Community を貴重なものと捉えています。「自らを向上させるのに、他のユーザーと共有し、エキスパートのアドバイスを聞くことに勝る方法はありません。」

 
 
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